XJ 5インチアップ計画

 

私のXJの改造は,ひょんなことから始まったが,もともと「凝り性」なので,嫌なことに3インチ上げただけでは,収まらなくなっていた.

この頃,私は仕事場での無銭インターネットに没頭していて,あるホームページに行き着いた.知っている人もいるかもしれないが,off-road.com の中にある Cherokee America というホームページだ.このページには,いろいろな情報が詰まっていて,XJ Project というコンテンツが当時の私の心に焼き付いてしまった.しかも,もちろん英文なので,何回も見ないと意味がわかんないときている.ひどいときは辞書を片手に読んでいた.そんなことすりゃ,憑り付かれるに決まっている.「こんなXJを日本で走らせたい.」ついにそこまで思うようになってしまっていた.ちょうど,ラテラルロッドを購入したこともあって,準備万端,あとはパーツ選びの段階しか残っていなかった.とにかく,あの『土手越え』のため,走破性を上げたいと思ってはいたが,考えてみれば,鉄砲のタマ=銭がないことに気が付いた.

ベストなセレクトはその頃からルビコンエクスプレスかトムケンの5−6”アップのサスキットだったが,高価すぎて買えないし,既に交換してあるブラックダイアモンドが可哀想だと思った.(笑)そうそう,これがケチってもんだ.そこで,邪道かもしれないが,トムケンの2インチアップキットを付け足すことを思いついた.3+2=5である(アホか).そこで,この件につき,恐る恐る大御所の新海氏にメールで相談してみた.新海氏は,私のしつこ〜い質問にも本当に丁寧に答えてくれ,具体的な問題点や取り付け方法なども事細かに教えてくれた.これには,私も大感激してしまい,すっかりこの道に入っていくことになったのだ.

プランは,タイヤサイズを32インチ,つまりは外径809mmまで上げ,デフ下のクリアランスを広げることを目的に…というと聞こえはいいが,単にやってみたかっただけかもしれない.ストロークがどうのとか,そんなことはどうでも良かった.突っ走ってみたかったのだ.勢いのついてしまった私は,日をみて,全てのパーツを注文し,後は来るのを待つだけとなった.USパーツの悪いことといえば,納期があっても無いようなものだということだ.これは,1台目のボートを購入した時にも経験したので,少しは耐え凌ぐことが出来た.やっと来たパーツ類を検品しながらニンマリ.嬉しかったなぁ,この時は.

トムケンの2インチアップの内容は,2インチのソーサーとブロックにショック延長キットで構成されていた.もちろん,カタログ写真と同じだった(笑).このキットの特徴は,ノーマルの足回りを最大限に生かすためのキットで,ストックのショックをそのまま使うことを前提に設計されたものである.値段も激安で,私のプランにはもってこいだった.
そして,実際の取り付けは友人の森氏の工場で行うことに決めた.

一応,土日の1.5日間を予定し,1999年の8月下旬のある日,この計画を実行した.そういえば,妙に暑かった.この日,弟,○本氏,高木夫妻,そして,工場を提供してくれた森氏と多くの友人に囲まれ,私のXJの『進化(?)』は始まった.

既存のパーツの取り外しが困難なことは,もうわかっていたが,こんなにきつい作業だとは,思っても見なかった.ほとんどの作業は,森氏がやってくれることになっており,作業計画も森氏が決めてくれていた.とりあえずは,簡単そうなリアリーフの下に2インチの下駄をかますことから始めた.で,始めた瞬間,「な〜にが簡単だ.」という世界に突入した.リーフの鳴きを抑えるためにリーフをばらしてユニックグリースを塗る作業をしたのだが,勝手がわからん.ブラックダイアモンドのキットはリアは増しリーフのみなのだが,外した後のセンターボルトが再利用できなかった.このことは,既に予想がついており,某工具店で買って来たインチサイズのキャップボルトが役に立った.これも新海氏に教えてもらった方法だ.ここまでは,上手くいった.自分でいうのもなんだけど….ミッションジャッキで,位置合わせをしながら,リーフに下駄をかまして,Uボルトを…と思いきや,プロペラシャフトのデフ側の角度補正のために入れるはずのキャスターウェッジを入れるとボルトがしまらない.長さが完全に足りなかった.

「ヒェー,どうしよう!」

泣いても仕方がない.とりあえずは,キャスターウェッジは入れないことにした.後日,連絡して3°のものにでも交換するしかない.このキャスターウェッジは,曲者で,現車確認でないとベストな角度がわからないという恐ろしいパーツなのだった.良いことといえば,私の97モデルはマイナー後のため,この辺の余裕があるらしいということなのだが,入れたほうが良いのは素人の目で見ても明らかだった.このキャスターウェッジとミッションダウンスペーサーで角度補正をし,プロペラシャフトの出るであろう異音対策をしようと思っていたので,少々困ってしまった.
「何とかなるだろう」次の瞬間,とっさにそう思っていた.へこたれないね〜,このオッサン.そうでなくては,アメ車を好きにはならないだろう.

こんなことがあった次の日の作業は,ミッションダウンスペーサーの取り付けから始まった.いきなり,スタッドボルトを外す作業に手間取った.しかし,森氏が上手く切り抜けてくれ,さなんとか取り付けることが出来た.

予想はしていたが,こんなにきついとは….

次は,フロントの足回りだ.ラテラルロッドは前日に外しておいたので,ミッションジャッキをかまし,フロントサスをばらしていく,フロントはさすがに難しく,困難を極めたが,友人たちの助けが素晴らしく,私が頑張らなくてもゆっくりながらも作業は進んでいった.強靭な鉄製のソーサが左右のコイルの上に挿入されていく,実は,この作業よりもコイル下側の内にはいるバンプストッパーの取り付けが難しかった.タップを切ってまわして入れるだけといってしまえば,簡単だがとにかく素人の私には出来る筈がなく,職人高木氏がその腕をいかんなく発揮してくれた.そういえば,ラテラルロッドの取り付け穴を変更するのも高木氏がしてくれた.さすがに職人である.

実のところ,各リンクをつなぐことでさえ,大変だったので,「新海氏はどうやっているのだろう」素人の私には,作業中,ずーっとそう思っていた.プロの技にひとひねりあるのかもと弟子入りしたい気分になったものだ.

気になることといえば,優れものパーツのショックの延長ブラケットのことだった.このパーツ,純正のショックを取り付けるという前提で設計されているのがミソだが,これのために問題は発生した.
純正ショックのバーピンとランチョのバーピンの形状が違うことと寸法的な違いが微妙にあるため,リアは,ボルトのかかりが浅く,どうみても緩んできそうな具合になっていた.これは,右の写真でも確認できるが,どうやら対策が必要だ.恐らく,溶接で点付けするか,バーピンの交換が必要になるだろうとその時に思った.

これに関しては,新海氏のアドバイスを仰ぎ,純正のバーピンを抜いて,交換することで対処した.純正のバーピンを抜いて入れるのは骨だったが,後日,なんとか対処した.

そんなこんなで,いろいろ困難はあったが,どうやらこうやら,昼過ぎには,メインの作業は終えることが出来た.
森氏と高木氏におんぶに抱っこで何とかたどり着いた.

その後,悲劇は始まった.
このままタイヤを取り付けても11.5インチ幅(なんと290mm)のグッドリッチのMTタイヤにアメリカンレーシングのAR767(オフセット−12)の組み合わせなので,5センチ以上ボディからはみ出てしまうのだ.
実際に取り付けてみて,驚愕のはみ出具合!
想像はしていたが,これほどまでとは….
しかし,事前に想定していたので,苦肉の策として,ラバーフェンダーという切り札を用意していた.

各社から,出ているワイドなオーバーフェンダーは高価な上に,足の伸び縮み時に,タイヤと干渉し,必ず破損すると考えられた.こっちのほうがスタイリッシュだが,機能の向上を求める私には,無縁のものである.少々,ダサくて,野蛮でもこのラバーフェンダーで十分であると判断したのだ.

このため,面倒くさい作業だが,オリジナルのフェンダーにラバーフェンダーを取り付けなくてはならなくなった.口で言うのは簡単だけど,これが,滅茶苦茶,厳しかった.
止める部分を押さえるアルミのプレートをカットして取り付けなくてはならない.1枚1枚カットして,現物あわせをしながらの作業だ.
意外と時間がかかり,終わる頃には夕方になっていた.

この作業では,現場のみんなでの総力を合わせての共同作業だった.寸法取りしてカット.仮合わせして,修正.曲げ加工が必要なところは,叩いて曲げて,フィットさせた.あとは,タッピングネジで固定.この一連の作業を効率よく進めた.やっぱり,チームワークだねっ.

「皆さん,あの時は,どうもスミマセンでした.」この場を借りて,お礼とお詫びを申し上げたい.
そのくらいきつい作業だったと思う.

最後の仕上げは,サイドスリップテスターでトー角の調整とハンドルのセンター出しが残っていたが,森氏が難なくやり遂げてくれて,完成.

乗り込んでみると,非常に高い.
嬉しい半分,恐ろしい半分で,なんとか,運転することが出来た.
なんだか,違う世界がそこにはあった.
帰り道で既にプシューと異音がしたが,トランスファーのガードが干渉しているらしく,取り外すことで対処した.ちなみに,この作業は,暗い夜道の道端で行った.
腹下のバカッ広くなったXJの下に潜りながら,作業をしたが,なんとも言えない充実感があった.これで,多分,私は『イッちゃった』のでしょう.

しかし,この時,既に『病魔』は私を蝕んでいたことには,何を隠そうこの私にも気が付いていなかったのだ.

この足回りでも良かったんだけどねぇ…

改造前のXJ 3”アップ状態

フロントを外す前のワンシーン.

リアの組み付け完了!

このボルトが締まらなかった.
予想外のアクシデント.

異音対策で,トランスファーを
スペーサーでダウンさせる.

プロペラシャフトの角度は
こんな感じ

改造前のフロント.

改造後.2インチのソーサーが
挿入され,5インチアップ!

これは,バンプストッパー.
入れるのに一苦労.

フロントショックの延長ブラケット.
上手く出来ている.

リアのショック延長ブラケット.
ランチョのバーピンを使うと
ボルトのかかりが浅い.
後日,純正ショックの
バーピンに交換した.

リフターに乗ったままの状態での
デフ側のシャフトの角度.

やっと地上に降りた.
角度はまあまあ.

今日の恩人!高木夫妻.

改造後のショット.
腹下がスカスカ!

ちょっと,野蛮かな?

機能撮影っす?